
ファクトシート
2006年6月29日
■ 概要
■ 電気通信
■ 情報技術
■ 競争政策
■ 医療機器・医薬品
■ 金融サービス
■ 競争政策
■ 透明性および政府慣行
■ 民営化
■ 司法制度改革
■ 商法
■ 流通
日米規制改革および競争政策イニシアティブ(規制改革イニシアティブ)は、市場機会の改善および企業を煩雑な規制から解放し、成長を促進するため両政府により進められている。同イニシアティブは2001年に「成長のための日米経済パートナーシップ」の重要な要素としてブッシュ大統領と小泉総理大臣により立ち上げられ、両国政府は年次要望書を交換し、作業部会および上級会合を経て、進展を記録するために、両国首脳への年次報告書を作成する。
76ページに及ぶ本年の報告書には、電気通信、情報技術、知的財産権、医療機器・医薬品、金融サービス、農業、競争政策、透明性、司法制度改革、商法、ならびに流通などの主要分野で日本が講じている重要な措置が列記されている。このような進展はビジネス障壁の削減、透明性の向上、市場開放、競争環境の強化、規制に関する決定の迅速化を促進するであろう。
これらの措置が経済成長を促進しつつ消費者やビジネスに恩恵をもたらしたことから、この先日本が引き続き規制改革に向け措置を強化することは重要である。この5回目の両首脳への報告書はこれらの重要な目標を達成するために日本がさらなる改革を検討している諸分野についても明記している。
背景 日本の電気通信市場が世界最先端のブロードバンドサービスのいくつかを提供し続けるなか、日本政府は次世代の政策課題について取り組み始めた。これらには、新技術や新ビジネスモデルの競争機会促進や、従来の公的独占の名残による新規参入への妨げがないよう確保することなどが含まれる。米国は、日本政府がこの分野における改革に継続してコミットする姿勢を、高い接続料やその他の固定通信および移動通信市場での障壁の除去に精力的に取り組むことによって明確に示すよう求めてきた。また米国は、透明性、免許要件の技術的中立性ならびに規制の独立性における、さらなる改善を、特にワイヤレスサービス関連の決定に対して求める。
進展 米国は、電気通信分野において、成長を促進し競争を促すために日本政府が講じてきた重要な措置を歓迎する。これには、以下の措置が挙げられる。
・ 支配的事業者(NTT)の形態や、融合の時代において意義ある競争を確保するため、いかに競争事業者が重要な設備であるNTTのネットワークへの公平なアクセスを確保できるようにするかを含め、日本の電気通信および放送分野の法的枠組みの再考。
・ 新規参入事業者3社が1.7GHzおよび2.0GHzの周波数帯において新たに無線サービスを提供することを認可し、高い料金体系と低いネットワーク利用となっている分野への競争の促進。
・ モバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレーター(MVNO)に関する指針の大幅な改正に向け、免許を付与された事業者による2次的市場での周波数帯の賃貸、転貸、および交換する力の強化。
・ これまで卸売り用アクセス料金をゆがめてきた固定費を段階的に廃止することにより、NTT東日本と西日本が競争事業者に課してきた固定通信網への接続料金を引き続き削減。
・ 高コスト地域において電気通信サービスが補てんされるようユニバーサル・サービス基金制度の改定が、WTO参照文書の原則である透明性と競争中立性の厳守を明言(すなわち、いかなるユニバーサル・サービス・プログラムも、このような補助金を現在独占的に受けているNTTと競合する事業者に対して、不利に働かないよう確保)。
・ 新しいワイヤレス・ブロードバンド技術(例:WiMax)を奨励し、そのような技術に将来割り当てる周波数帯を透明性のある方法で検討。
・ 電気通信機器の効率的な貿易を促進するため、米国との相互承認協定の締結に向けての取り組み。
・ 無線LAN機器のアンテナの適合性評価について簡素化された「ファミリー認証」(包括認証)採用の可能性の検討。
背景 2006年1月19日にIT戦略本部によって決定された新IT戦略は、日本経済におけるITと電子商取引の活用を促進するための政府の継続的努力に重要な貢献となる。米国は日本がデジタル時代において引き続き知的財産権保護を強化し、ITと電子商取引が最大限に発展することを妨げる規制や慣習を除去することにより、ITと電子商取引が繁栄する環境を育て、民間部門によるインプットと政策決定プロセスへの参加を拡大し、開放的で活発な競争を確保するため、さらなる措置を実施することを日本に奨励する。また、両政府は国際知的財産権保護および実行を強化するための共同措置を取ることを決意する。
進展 米国は、IT、知的財産権および電子商取引において効果的な政策を策定するために日本政府が実施している重要な措置を歓迎する。これには、以下の措置が挙げられる。
・ 米国政府と新たなイニシアティブを設置し、アジアおよび世界で、緊密な2国間、地域間ならびに多国間の行動を通して偽造品・海賊版の売買を防止する。
・ 法定損害賠償制度設置の可能性と音声録音およびすべての著作物の保護期間の延長を含め、著作権法を真剣に見直す。
・ 米国政府と協力して2006年6月に大規模な公開セミナーを開催し、日本における個人情報保護法の順守を強化する。
・ 個人情報保護に関する各省庁による任意の指針を順守しない場合でも罰則の対象にはならないことを企業に明示する。
・ 医療カルテやレセプト処理のための画期的なITソリューション導入を推進するため、新たな措置を講じる。
・ 日本版「バイドール制度」の範囲を拡大し、政府支援のITプロジェクトを通じて創出されたソフトウェアを含む知的財産権の所有権を受託業者が保有できるようにすることにより、新たな知的財産の効果的な活用を推進するため、2007年度の法案提出を準備する。
・ 日本の憲法の通信の秘密および電気通信事業法をふまえ、スパム対策技術に関する認識を向上させる。
・ 米国政府と協力して2006年4月の日米金融テクノロジーセミナーを開催し、オンライン上の危険(フィッシング、スパム、詐欺)に対処する。
・ 改正された行政手続法に基づき行政上の規制決定プロセスにおいて透明性を確保し、利害関係者がITおよび電子商取引に関する規制・指針の発展に貢献するための意義ある機会を与えられるよう確保する。
・ 2005年12月に公表された「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準」の内容に変更がある場合、利害関係者から意見を収集することの重要性を認識する。
・ IT利用に関する調査を実施し、電子債権および新たな電子的決済サービスについて討議する作業部会を設置することにより、金融機関とインフラを強化する。
・ IT関連の調達に関して、より明確に定義し、契約の責任を限定する措置を講じる。
背景 日本の医療財政にとって、高齢化と課税基盤の縮小は大きな課題となっている。65歳以上の高齢者数は、現在の6人に1人から、2015年までには4人に1人の割合になると予想され、出生率の低下は人口の減少をもたらしている。高齢者医療を支える収入を生み出す労働力が相対的に減少するため、日本は医療制度の変更を行っている。日本は、医療機器および医薬品の保険償還価格制度に変更が行われる際には、革新の価値、市場の役割、ならびに先進的な医療機器および医薬品が適時に提供されることの必要性を考慮するであろう。これに関連し、日本は、米国政府が医療機器および医薬品の保険償還価格が毎年変更され得るようないかなる制度にも強い反対を表明した事に留意した。米国政府は日本に対して、入院日数の削減、納税者負担の軽減を可能とし、病気の早期回復をもたらす革新的な医療機器や医薬品をより多く活用する事で、国民や財政に与える長期的な利点を考慮するよう引き続き求める。日本はまた、先進的医療機器および医薬品の導入を迅速化させるために規制体系の改善に取り組んでいる。
進展(保険関連) これらの分野で日本が今まで講じてきた、または今後講じる措置には、以下を含む。
・医薬品の加算要件を緩和し、加算率を引き上げ、また、小児加算を設けること。
・薬価基準収載希望者に対し、第1回薬価算定組織の会合において、製品の価値について意見表明をする機会を提供すること。
・日本の規制・流通システムが医療機器の国内価格に与える影響に関し、業界による調査を検討すること。
・C2に区分される医療機器について保険収載の頻度を増すこと。
・革新的な診断用品について加算を与えること。
・ほとんどの血液製剤の価格の引き下げを行わないこと。
進展(薬事関連) これらの分野で日本が今まで講じてきた、または今後講じる措置には、以下を含む。
・医薬品医療機器総合機構の職員を拡充し、審査を迅速化すること。
・医薬品の審査の進展状況を確認するための達成指標の種類を増やすこと。
・医薬品の世界同時開発の実現に役立つよう、国内における治験相談を改善し、治験の実施を促進すること。
・医療機器の一部変更承認の審査を迅速化するための制度を作ること。
・医療機器の供給業者や滅菌業者への品質システム査察の適否を明確化すること。
・血液製剤の製造と供給に関して、業界が参加する作業部会を設けること。
・業界団体と協働し、栄養補助食品に関する独立行政法人国立健康・栄養研究所のデータベースの情報を消費者に提供するシステムを構築すること。
・化粧品および医薬部外品の規制に関する透明性を高めること。
背景 この1年、日本は2004年12月の「金融改革プログラム」の実施において進展をしている。このプログラムは、「金融システム安定の確保」から、金融機関が多様なサービスを敏速に提供する能力を高めるための規制撤廃を通じた「金融システムの活力の促進」へと、焦点の転換を示している。このプログラムの下で、金融庁は、販売、値付け、宣伝、市場行動、利用者保護、企業統治、開示、そしてリスク管理を含む重要分野の金融改革を2007年までに実行するために、意欲的で広範囲にわたる作業計画表を示した。多数の法律、規則、そしてガイドラインがかかわる、これらの改革は、日本の将来を高度に進んだ「金融サービス立国」や「地域の金融の中心地」として確立することを目指している。今年に講じた主な措置のなかに日本の新しい金融商品取引法の導入が挙げられる。日米両政府は、金融改革プログラムの実施について引き続き対話を行うことで合意している。
進展 金融市場を開放し、金融規制プロセスの透明性を高めるために日本政府がこの1年間に講じてきた特筆すべき措置には、以下のものが挙げられる。
・ 2005年3月から貸金業規制法の見直しをし、2006年4月21日に、「貸金業制度等に関する懇談会」が、グレーゾーン金利の廃止と、信用審査の精度を高めるため貸金業者の情報交換の活用を促進すべきとの点でおおむね合意を示した「中間整理」を公表した。
・ 貸金業規制法の下で借り手に書類を交付する一方法として電子通知を検討することを約束した。
・ 投資顧問業者、投資信託委託会社、そして証券会社を、統合された分野横断的な法律の下で金融(商品取引業者)会社として監督する「金融商品取引法」を2006年6月に制定した。
・ 関係者からのアドバイスを考慮し、2006年10月の確定拠出年金法の見直しによる確定拠出年金制度の継続的改善の努力と同様に、退職後の所得保障、労働移動、そして投資者教育の観点から、日本の確定拠出年金制度の価値を認識した。
・ パブリックコメント期間を30日以上に設定し、パブリックコメント手続きを法律上の手続きとして定めた改正行政手続法を2006年4月に施行した。
・ パブリックコメントや外国金融機関の関係団体代表者との意見交換のための公式・非公式な機会の提供や、施行規則の導入のためパブリックコメント手続きの約束によって、金融商品取引法の立法過程の透明性を改善した。
背景 強力かつ効果的な独占禁止法(独禁法)と法執行政策に支えられ、構成のしっかりとした競争政策は、日本の消費者および経済界に多大な利益をもたらし、日本経済の健全性と活力を促進するであろう。2005年に法制化され今年施行された日本の独禁法の大幅な改正は、すでに競争環境へ大きな影響を与えている。公正取引委員会(公取委)も、その法執行活動が公正で透明な方法で行われていることを保証するための措置を講じた。こうした措置は、公取委の使命に対し、国民や経済界の双方から支持を得るのに大いに役立つであろう。日本の公共事業においては、しばしば政府職員にほう助された談合が依然として重大な問題であるが、日本は、この問題への真剣な取り組みの端緒となるかもしれない措置を講じ始めた。
進展 これらの問題に対応するために日本が講じた、または講じることとしている新たで大きな措置は、以下のものを含む。
・ 企業がカルテルや談合の存在を公取委に報告することを促す独禁法課徴金減免制度の導入。
・ 11社と個人11人に対する刑事告発という結果を生んだ2006年の汚泥・し尿処理施設工事談合の調査を含む、公取委による新たな犯則調査権限の活用。
・ 排除措置命令および課徴金納付命令の対象者に対し、命令を発する前に公取委が入手した証拠を再検討し、意見および証拠を公取委に提示することを認め、また警告の対象者に対し、警告を行う前に彼らの意見および証拠を公取委に提出することを認めることを含め、公取委の調査過程における公正性の増大。
・ 公取委の課徴金減免制度の適用を認められた企業の指名停止期間を半分に短縮することで公取委の課徴金減免制度を補完するために国土交通省(国交省)による行政措置減免制度の設置。
・ 10年以内に談合を再び犯した企業に対する最短指名停止期間を倍にし、悪質な独禁法違反を犯した企業に対する最短指名停止期間を12カ月に延長する国交省の措置。
・ 一般競争入札制度の拡大、談合を行った企業に対する指名停止の厳格な適用、ならびに官製談合を排除するためのさらなる努力により談合防止を促進するという2006年5月の閣議決定の発表。
・ 国交省の工事を請け負った企業への退職後5年以内の再就職を自粛するよう国交省が同省幹部に要請する等、日本の天下り制度から生じている利益相反に起因する官製談合に取り組み始める措置。
背景 日本は、政府の意思決定プロセスにおける透明性向上のため、規制事項に関する意見収集の機会を増やす新たなパブリックコメント手続きの実施や、法令英訳の新プログラムなど、引き続き進展を遂げている。米国政府は、政策や規制問題に関し日本政府に助言する審議会やその他の委員会へのアクセス改善ならびに透明性の向上のため、より厳格な措置がまだ必要であると確信しており、この問題に引き続き重点を置いていく。また、日本は構造改革特別区域(特区)制度も推進しているが、同制度の一部の全国化もこの中に含まれている。これらの措置は、日本における企業の効果的な業務と発展のための環境改善に貢献している。他のさまざまな規制事項においても、保険商品の銀行窓口販売自由化への動きや植物検疫手続きのさらなる簡素化などの進展が見られ、消費者に恩恵をもたらすとともに新しいビジネスの機会を生むであろう。また、米国と日本は、アジア太平洋全域においてAPEC透明性基準の完全な実施を達成するため、引き続き協力していく。
進展 透明性および政府慣行を改善するため日本がこれまでに遂げた進展の詳細には、以下のものが含まれる。
・ 日本のパブリックコメント手続きを強化するため、提出されたすべての意見を各省庁が充分に考慮し、全文および/もしくは要約を公表する措置を含んだ法律を施行。
・ 2007年末までに全面解禁する予定で、銀行窓口販売をより多くの保険商品に開放し、関連のある顧客保護規定が特定の商品・サービス提供者を優遇しないように確保。
・ 無認可共済を原則として金融庁の監督下に置くことにより、保険分野における競争条件の同一化を促すよう法的改正を実施。
・ 特区の合計数を昨年の548から今年は630に増やし、2006年3月31日現在で64の特例措置を全国化し、ビジネスがより容易になった環境の下、さらに多くの機会を国内外の企業に創出。
・ 2006年3月に、約200の法令を英訳するために必要な措置を取るための新しいプログラムを開始。
・ より国際的に受け入れられている植物検疫制度の導入のため、4種類の害虫に関する検疫措置および検査方法の改正を含む措置を講じる。
・ 制度改正に先立ち、最近の保険契約者保護機構の改革について透明な見直しを実施することを確約。
・ APEC加盟国・地域の内部法体制においてAPEC透明性基準の完全な実施を達成するため、米国と引き続き協力していくことを確認。
背景 日本政府は引き続き特殊法人の民営化を進めている。特に、小泉首相の主導する郵政民営化は日本の銀行・保険・そして宅配便などの市場における競争という意味で重要である。真の市場原理に基づいた日本郵政公社の改革は日本経済へ最大限の恩恵をもたらすことを確保し、また同時に、ひずみのない競争を生み出す。日本郵政公社の民営化は2007年の10月1日から開始される。
銀行と保険分野での進展 日本郵政公社の改革を通して、銀行と保険分野で公平な競争の場を確保するために日本が実施している措置は以下のものが含まれる。
・ 郵便局会社が民間の銀行や保険会社との間にその商品やサービスを提供する契約を結ぶことを許可することも含め、郵便局ネットワークへの公平なアクセスを確保する。
・ 2007年10月以前の銀行の預金と保険契約から新しい郵便金融事業への相互補助を避ける。これには関連する代理店契約が商業ベースであることを確保し、金融庁の監督の適用を受けることも含む。
・ 新しい郵便金融事業は、金融庁の監督も含め民間企業と同様の客観的な免許、情報開示、監督の義務を課せられる。
・ 社会・地域貢献基金の創設と運営の透明性を確保し、その基金によって日本郵政公社を継承する組織が民間部門より不当に有利な立場が与えられることのないようにする。
・ 2007年10月1日以降は、郵便貯金銀行に入金された預金ならびに郵便保険会社が販売した保険は政府の保証があるという誤解を招くことのないようにする。
・ 平等な競争条件を確保するという原則を事業拡大の決定を含む民営化のプロセスを進める指針として採用する。
宅配便分野での進展 宅配便分野で公平な競争の場を確保するため以下の措置が取られる。
・ 民間の事業者に適用されるものと同じ航空安全の規則および規制を新しい郵便事業会社にも適用する。
・ 民間の事業者に適応されるものと同じ陸上・海上・航空輸送に関する法令を郵便事業会社にも適用する。
・ 内部相互補助がそのサービスにおいて発生しないことを確保するために、郵便事業会社に情報の開示を求め客観的な評価を可能とする。
透明性に関する進展 日本政府は透明性を確保するため以下を含む多くの措置を取る。
・ 関係者が担当の政府職員と意見を交換する機会を設ける。
・ 郵政民営化委員会の透明性の重要性を認識し、委員会の運営に事前および事後の透明性のための措置を実施する。
・ 2006年夏に日本郵政株式会社の実施計画の骨格を公表することで透明性を強化する。
背景 国内および外資系の企業や個人に国際的な法律サービスを効率良く提供することを促進する法環境は、日本経済の健全性に大いに貢献する。外国法事務弁護士(外弁)と日本弁護士(弁護士)との提携の自由の確保は、日本の企業および顧客が費用対効果の高い、適時かつ統合された法律サービスを利用することができるための重要な要素のひとつである。2003年の外国弁護士法(外弁法)改正は歓迎すべきものであり、その方向に向けた重要な前進であったが、法務省と日本弁護士連合会(日弁連)双方が2003年の改正外弁法をその自由化精神にのっとり実施して初めて日本経済に有益な影響を持つことになる。また、効率的な国際的な法律サービスの提供に関するその他の障害についても、引き続き措置が必要である。例えば、外国法律事務所による日本における複数事務所設立に関する制限は、日本の消費者の法律サービスに対するニーズに応える能力を阻害している。現行規則は、日本国内における国際的な裁判外紛争解決(ADR)手続きにおいて外弁が顧客を代理する業務を行う能力を阻害しており、日本において国際的な法律サービスを提供することに長期的関心を持つ外国弁護士が外弁資格を取得する意欲を失わせている。
進展 グローバルな市場に一層適した法環境を構築するために、日本がこれまでに講じた、または今後講じる重要で新たな措置には以下のものが含まれる。
・ 外弁法の施行に関し、日弁連および各地弁護士会の会則および会規が外弁法の目的と整合性を持つよう、日弁連および外弁と協議を行う。
・ 外弁が法律専門職法人を設立することを許可するかどうか、また外国法律事務所が専門職法人を形成することなく複数事務所を設立することを許可するかどうかについての、法務省の検討結果および何らかの結論を、2007年4月までに米国に報告する。
・ 少なくとも外弁法の禁止条項に該当しない限りにおいて、外弁は日本国内における国際ADR手続きの当事者を代理する業務を行うことが許容されていることを確認する。
・ 日本国内におけるあらゆる形態のADRで主宰者として活動するための外弁の資格について、より強固な法的確実性が確保され得るかどうか、さらに検討を行う。
背景 国内および国境を越えたM&Aを促進する最新の商法制度は、力強い日本経済を推進する。例えば、日本の商法における最新の合併手法の導入は、企業再編と投資の促進により経済を強化するうえで大きな貢献をする。優れたコーポレートガバナンス(企業統治)の仕組みの導入により、より効率的な企業活動と組織、株主への高配当、そして究極的にはより健全な経済が実現する。優れた企業統治導入の最も重要な前提条件のひとつは、機関投資家と個人投資家双方による議決権代理行使への積極的な参加と、経営者および株主の決定に対する監視を提供する法的仕組みを含む、株主権利の積極的な行使を促し推進する仕組みである。米国は、商法を最新のものとし機関投資家による積極的な議決権代理行使を促進すべく日本がこれまでに講じた措置を歓迎する。しかしながら、日本の商法制度が日本への投資拡大や企業経営者のより効率的な経営、株主へのより一層の高配当を促進させるためには、さらなる取り組みが求められる。
進展 企業の業績や企業統治を改善するために、日本がこれまでに講じた、または今後講じる措置には以下のものが含まれる。
・ 外国株式を用いる三角合併やその他の最新の合併手法を可能とする会社法の新たな条項を2007年5月1日に施行し、またその期日までにそうした取引に対する税制措置に関する規則を盛り込むことを計画する。
・ 特定の買収防衛策に対して公開買付の撤回や買付内容の変更を可能とし、また対象企業の取締役会がその理由も含め公開買付に対する立場を公表することを義務付けるため、証券取引法を改正する。
・ 買収防衛策を導入するかどうか、またそうした措置がなぜ株主利益を損なわないのか、そしてそれは経営者の保身を目的としたものではないという説明を、毎年株主に公表することを企業に義務付ける会社法施行規則を公布する。
・ 会社法821条(擬似外国会社に関する条項)が、日本で登記され合法的に活動している外国企業の業務に不利な影響を及ぼさないことを確保し、またそうした不利な影響を防ぐため、必要に応じ会社法の改正を積極的に検討することを約束する。
・ ミューチュアル・ファンドの運用者に代理行使に関する記録の公表を義務付けるよう日本の投資信託協会の規則改正を促すなど、機関投資家による積極的な議決権の代理行使を推進するための措置をとる。
・ 社外取締役および買収防衛策の有無を含む、企業統治体制の公表を上場企業に義務付ける東京証券取引所の規則の導入など、日本における上場企業の企業統治強化の重要性を認識するともに、株主の権利を著しく侵害する買収防衛策の導入を上場廃止理由に含める。
背景 生産者と消費者の間に生じる阻害要因を最小限に抑えることが、効率の良い流通経路を確保するカギである。阻害要因としては事実上の規制、あるいは港、空港など流通経路の要所で、競争がないために生ずる高い使用料金やその他の障害などが挙げられる。日本で最も利用者の多い成田国際空港をアジア地域の旅行者にとって魅力的なハブに、そして航空貨物やエクスプレスサービスの主要目的地にしようと進展が見られることに、米国政府は勇気づけられている。成田国際空港の民営化は、空港着陸料の抑制やその他のサービスの改善を助けるためのより強固な競争地盤を生み出す手段となっている。またコスト意識の高い事業は競争力を維持するために、成田国際空港、そして日本国内の他の空港でのさらなる進展に依存している。通関手続きから、自動車検査、自動車登録に関する手続きまで、規制の問題が最終的には影響を与えることから、消費者の福利とビジネスの活力全体に悪影響を与え得る流通コストを削減するため、米国政府は引き続き、日本政府がこれらのそして他の分野で大幅な規制改革を行うよう強く求める。その他、クレジットカード、デビットカード、ATMカードの利用拡大のための方策も店頭での消費者の選択に利するものである。
進展 この分野において今まで日本が講じてきた、または今後講じていく重要な措置には、以下が挙げられる。
・ 国際航空運送協会(IATA)により承認された2005年の成田国際空港株式会社(NAA)の着陸料引き下げを実施すること。
・ 成田国際空港の平行滑走路拡張プロジェクトが効率的でコスト意識をもって進められることを認識すること。
・ 成田国際空港の第1ターミナル南ウィングの拡張オープンは空港使用料のさらなる抑制につながり得るものであるが、同使用料は国際民間航空機関(ICAO)の透明性に関する理念およびその他原則に従い設定されること。
・ オンラインで新車新規登録ができる新たな「ワンストップサービス」を一部地域で開始し、それを2008年までに全国に拡大すること。
・ 2008年までに自動車の所有者情報の確認が容易にできるよう道路運送車両法を改正し、暫定的に多数の自動車を保有している場合の移転登録手続きを簡素化すること。
・ 日本の健全なクレジットカード市場形成に向け、犯罪グループによる偽造カード持ち込みを防止するための取締り強化や、警察、税関、入国管理局の協力を含む、クレジットカード、デビットカード詐欺に対する措置を講じること。
・ クレジットカードを地方公共団体のサービスへの支払いに利用できるよう法律を制定し、他にも政府によるクレジットカードの利用拡大のための措置を講じること。
・ 大規模小売店舗のために利用可能な土地を限定する新たな規制を導入する際、透明性を確保し、これらの規制が、日本の以前の市場需給調整システムと同様の方法で大規模小売店舗を制限することがないように実施されることを確保すること。


臨時代理大使